介護のスペシャリストの現状について
20世紀末に介護保険制度が導入されるにあたり、新しく創設された資格がケアマネージャーだ。介護支援専門員とも称される本資格を有する者は、要介護者と福祉関連施設及びサービスをつなぐ役割を担うことになる。その具体的な仕事内容は、ケアプランの策定と相談業務及び書類管理だ。時には勤務先施設に寄せられるクレーム処理も行うことになり、謂わば一般企業における中間管理職的な存在と言えよう。
設立当初は介護業界を急拡大させたい政府の狙いもあり、比較的容易に取得できる資格であったが、現在は合格率が低い高難度の資格となっている。つまり同じ有資格者であっても、その能力には大きな隔たりが生まれているのだ。そのため、人によっては求められる業務について行けず、離脱を余儀なくされることも少なくない。ケアマネージャーに求められるのは、単純な介護関連技術だけではない。営業マンに類する交渉能力も問われるため、理想とのギャップに苦しむ者は少なくないようだ。
また、介護業界は5年に1度の頻度で保険システムが見直される。その度に対応に追われることにもなるし、介護報酬が削られる場合は、苦労した挙句に収入がカットされるということも耳にする。ケアマネージャーの年収は現在400万ほどだと聞いたが、その業務量や仕事の難易度に比べると決して多いとは言えないだろう。現在は担当できる要介護者の数が35人までと定められており、どうしても収入面で上限が見えてしまっている。ただし、日本における高齢化社会の訪れは不可避であるので、介護における最高峰の資格を有するケアマネージャーの需要が減ることはないだろう。